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「明治ブルガリアヨーグルト低糖まろやか」(80g×4)新発売のお知らせ (明治乳業HPより転載) 当社は、2005年3月29日より、全国にて「明治ブルガリアヨーグルト低糖まろやか」(80g×4)を新発売いたします。 当社の「ブルガリアヨーグルト」シリーズは、順調に拡大を続けており、2004年度は、「明治ブルガリアヨーグルトLB81(500g)」の販売好調、および「明治ブルガリアヨーグルトLB81ドマッシュノ」(350g)、「明治ブルガリアヨーグルトアロエ」(80g×4)などの新商品発売が奏功し、ヨーグルト市場全体が伸び悩む中、前年実績を上回る見込みです。 特に、「明治ブルガリアヨーグルトLB81(500g)」は、プレーンヨーグルトの代名詞として、また信頼・安心のブランドとして圧倒的な支持をいただいており、今や、プレーンヨーグルトは日本人の朝食に欠かせない食材になりました。また、連物のソフトヨーグルトは「家族で楽しめる健康的なデザート」として人気を集めており、今後においても成長が見込まれております。 このような中、今回、「明治ブルガリアヨーグルトLB81(500g)」の価値を有しつつ、ほんのり低糖タイプに仕立てた「明治ブルガリアヨーグルト低糖まろやか」(80g×4)を発売いたします。食べきりサイズ(80g)に仕上げていますので、ご家族皆様で楽しんでいただけます。 当社は今後も、新商品の開発、「ヨーグルト」「乳酸菌」に関するフォーラムやシンポジウムの実施、ヨーグルトを使用した料理紹介の実施などの活動を通じて市場の活性化を図ってまいります http //www.meinyu.co.jp/company/pressrelease/details/050318_01.html
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三 章 梅雨入りにはまだ早い、春の温かな風が気持ち良い6月上旬の朝。 その日、僕は少し早めに登校をした。 教室にはクラスメートがちらほらいたが、きっと電車通学の遠方組なのだろう。 学校に間に合う時刻に合わせて電車に乗ると、どうしても早く着いてしまうらしい。 ただ、早朝の教室は思った通り静観だった。 元気に朝練をする部活動はあったが、この学級校舎と運動グラウンドの間に、 実験棟校舎があるため幸い、青春の一ページが奏でる騒音は聞こえてこない。 集中して授業の予習が出来る。 僕は、鞄から教科書や筆記具を出しつつ、こないだ行われた中間テストのことを思い出していた。 高校に進学をしてから、初めて行われた試験。 僕は格別な意気込みで挑んだつもりだった。 授業中も先生の講義を聞き逃さぬよう集中した。 家に帰ってからも毎日欠かさず、机と長時間にらめっこをした。 休み時間も、時々だったけど予習復習に専念した。 きっとコレくらいの努力をすれば、自分が空想した以上の成果は望めただろう… そう、僕は高を括っていた。 それなのに、思ったほどの成果が得られなかったのである。 結果だけを見れば、それ程に悪い成績ではない。 ただ、全体のレベルの高さに、僕は圧倒されてしまった。 このままの実力では、これ以上に上がることが難しいのではないか? むしろ、置いていかれはしないだろうか? そんなことを一度考えてしまうと、心配性な性格がむくりと顔をあげ、僕を意地悪く焦らす。 後は不安が解消されるまで足掻くしかないのである。 とにかく、次の期末テストでは納得がいく結果が欲しかった僕は、思考を机の上にある教科書に移行した。 勉学に没頭すること数十分。 僕がいつも登校してくるような時間になると、クラスメート達がぽつりぽつりと増えてくる。 入学してから出来たわずかな友人達が、いつもより早い到着の僕に気付き、朝の挨拶から簡単な会話を始めた。 昨夜のドラマのあらすじ…夢に出てきた憧れの女性との陳腐なラブストーリー…今日の占い… 僕ははじめ、教科書に目を通しながら友人の話に耳を傾けていたが、 次第に学習意欲が薄れてきたことを感じ、机の上を整頓し始めた。 すると、いつの間にそこにいたのか、静かなる隣人、無口な彼女が、僕を直視したまま立っていた。 普段なら挨拶を交わすことなく、そのまま席に座りいつものように机にかじりつく彼女だが、 その日は違った。 痩身で小柄な身体だが、ぴんと伸びた背筋。いつも変わらないひょこひょこ揺れる短めのツインテール。 感情を一切窺えない表情とはミスマッチな力強い瞳が、僕の両目をとらえていた。 僕はいつもなら有り得ない状態に困惑した。 何故、彼女がこちらを凝視している? 何かあったのだろうか? 何か彼女の気に障ることをしたのだろうか? 身に覚えなど全くない。 だが、彼女は視線を僕の両目に合わせたまま、一切微動だにしない。 僕の方も、金縛りにあったように動けない。 呼吸をすることも憚らるような沈黙だった。 目があってから、実際は5秒間くらいしか経っていないはずだったが、 僕には永遠に時間が止まったかのような感覚を受けた。 しかしいつまでも続くことのない沈黙を破ったのは、か細く消え入りそうな彼女の声だった。 「今日、学校が終わりましたら我が家まで同行願います」 僕は始め、彼女の言ったことの意味を理解出来なかった。 頭の中で彼女のセリフを一度分解してみた。 「学校が終わったら」…これはわかった。大丈夫だった。 次に「我が家に」…つまり彼女の家に、だよね? 最後は「同行願います」…一緒について来い、で合ってるだろうか? 解読すると、放課後、彼女の家に、一緒に行く…。 何故!? 僕の思考はもう一度そこで停止した。 家に誘われる程に仲が良かった覚えもなければ、彼女の家に行かなけばならない理由も思い付かない。 全く思いもよらない彼女の言葉を、僕は何度も反芻したが、考えれば考える程、訳が分からなくなってしまう。 急に頭をハンマーで叩かれたように、僕の頭はグワングワンに揺れっぱなしだったが、 視線は彼女の輝く宝石のような二つの瞳に縛り付けられていた。 僕は、彼女が他に何か言葉を続けるのかと、待っていたが (むしろ、何か言って欲しかった。判断材料が少なすぎる) 彼女は僕の沈黙を了承したと判断したのだろう。 視線を外すし、くるりと振り向くと自席に座り、いつもの作業を開始した。 僕はといえば、しばらくそのままの体制で固まってしまい、口をパクパクするしかなかった。 この日一日、僕は全く授業に集中する事が出来なかった。 おかげで早朝の自主勉強が無駄になってしまったが、後悔する程の心の余裕などその時はなかった。 恥ずかしいことだが、僕は女子に家へ招待されたことも、中に入ったこともない。 その機会が今日、唐突に訪れたのだった。 それも、ほとんど会話を交わしたことがない、隣の彼女から。 本来ならば喜ぶべきことなのだろうが、今はそんな気分にもならない。 僕は、彼女が何か話してくれることを期待したが、 結局放課後、「それでは」と言うまで、いつもの姿勢でペンをノートに走らせることに没頭していた。 僕の苦悩など全く意に介していない程に、放課後までは無視だった。 僕は、そんな彼女のことが、だんだん不気味に感じてきた。 学校ではいつも同じ行動。 誰と話すことがなければ、交流を持とうともしない。 彼女が何を考えているのか、学校以外では何をしているのか、誰も知らない。 正直、彼女の家に行くということに微かな抵抗があった。 そんなに仲良くないクラスメートの家に行くのは、実際問題いかがなものか? 普通に考えておかしい。 それに、僕は少し怖かった。 学校以外での、謎に包まれた彼女を見ることが、知ってしまうことが。 何か触れてはいけないものに触れようとする感触。 それが僕の心から平静心を奪いながら、代わりに臆病な気持ちを落としていく。 結局、色々な思考や感情が頭の中で渦巻いたまま、僕は彼女の短過ぎる催促に促され学校を後にした。 全く歩調を変えずに、姿勢が良い歩き方でスタスタ進む彼女。 その後ろを、頼りなげについて行く僕。 彼女は、僕がきちんとついて来ているかなど、いちいち確認をしない。 ただただ、前を向き歩いていく。 僕は、彼女が本当に一緒にくるよう言ったかどうだか疑問を持ち始めた頃、 先行者は、急にくるりとこちらを振り返り、 「末広町まで行きます」と告げ、また踵を返し歩き始めた。 末広町はここから二駅先である。 駅に着き、改札を抜けると間もなく電車が到着した。 電車に乗り込み、座席に座るやいなや、彼女は鞄から分厚い本を一冊取り出し、 カラフルな付箋紙が5~6本ついてある目次から黄色い付箋紙のところのページを開き、読み始めた。 僕は、取り敢えず彼女の横に座り、所在なさ気に車内をキョロキョロ見回していた。 幸い知人はいないようだ。 ほっと胸をなで下ろし、何気なく隣の彼女を見た。 色白な肌に華奢な身体。髪の色素も薄いのか、光があたると茶色に輝く短めのツインテール。 そして、横から見てもわかるほど、どこまでも力強い瞳。 キラキラ光る美しい瞳。 僕はしばらくの間、彼女に見とれていたが、そんな自分にハッと気付き、慌てて顔を背けてしまった。 彼女は、そんな僕が目に入らない程、本に集中していた。 視線を泳がせつつ僕は、「そういえば初めて女子と一緒に下校している」と思い、 またもや心中で一人で慌てふためいていた。 末広町は、ショッピング街というわけでも商業都市でもない。 民家やマンションが立ち並ぶ平凡な住宅街だ。 学校からはそう遠くないが、僕のクラスメートに末広町に住んでいる人は少し聞いたことはあるがほとんどいない。 駅を抜けると、彼女はまた無言のまま僕を促し、歩き始めた。 彼女の家が近いのかと、僕はドギマギしていたが、その高鳴る思いは、やがて疲労へと変わっていく。 …20分は歩いただろうか。 一向に変わらないペースで歩を進める。 その彼女について行くが、いつになったら着くのかわからない。 駅からずっと一本道を進んでいるはずだ。 それになのに、徐々に人気が薄い街並みに進んでいく。 ここまで来ると、マンションはほとんどなく、一軒家がまばらに立っているくらいだ。 だんだんと不安になってきた僕は、言葉を忘れたのではないかと本気で心配したくなる程、無口な彼女に、 何度か声をかけようとして諦めたが、そろそろ我慢の限界である。 せめて、あと何分かかるのかくらいは聞きたい。 僕は意を決して、話しかけようと早足に駆け寄った矢先に、突然彼女が立ち止まった。 僕はその拍子に前につんのめってしまい、情けないことに、彼女を後ろから抱き締める格好になってしまった。 突然のアクシデントで、華奢な彼女の背中に抱きついてしまい、僕はパニックになってしまった。 慌てて彼女から弾けるように離れ、 「うわああ!ごめんなさいごめんなさい!!わざてじゃないんだ! いや、本当に違うんだ!変なことをしようとしたわけじゃなくて! いや、してしまったんだけど!とりあえずごめんなさい!!」 と、土下座せんばかりの勢いで謝罪をした。 しかし、そんな僕をいつもの凝視で見つめて一言、「着きました」といった。 僕は、脳内がすでに災害時並みのパニック状態になっていたので、彼女の言葉を数秒理解出来なかった。 「いや!突いたんだ!あれ?!付いたんだ!そうなんだ、着いたんだ! 本当にごめんなさい!…え?着いたの…?」 そう言うと、彼女は一度だけ頷き、真横のそれを指差した。 それは、民家とはとてもだが言える代物ではなく、少し小振りな工場のような建物だった。 道路に面した入り口を抜けると、 そこにはところ狭しと見たこともない研究道具のようなものが、大小並んでいた。 円柱ガラスが二重になっている中に、ぐにゃぐにゃに曲がった細い鉄の管が入ってあるものが、 大きさ違いで4、5個並んであったり、 人が一人入れるくらいの、金属製の足付き球体があったり、 理科室でよく見るビーカーやフラスコを、信じらんない数が収納された棚があったり。 他にも形容しがたい実験道具がたくさんあり、そのほとんどが奇妙なモーター音を発しながら稼動していた。 この何か不思議な実験所のような室内に呆気にとられていると、 白衣に身を包み、空のビーカーを片手に持った彼女が奥から現れた。 僕は一瞬ビクッとして、一歩後ずさったが、いつもと変わらない彼女が無表情で立っているだけだったので、 ホッと胸を撫で下ろした。 僕は、この場所に来たときから、彼女はいよいよまともではないと確信していた。 いつもノートに不可解な数式を、ひたすら書き綴っているのも、ここに来て納得出来た。 しかし、僕は彼女に対してもっと悪い意味での想像をしていたのである。 人間を人間と思わない非道な科学者のようなものとか、 裏の世界に通ずる危険な物を製造しているような団体とか。 まぁ、昔テレビやマンガで見たような、マッドサイエンテスト的なものだ。 僕の貧相な想像力では、そんな幼稚な考えしか浮かばない。 しかし今、目の前にいる彼女を、彼女の目を見ればそうではないことが、何となく分かる。 彼女の瞳はいつもと変わらずに、僕の心まで見透かされているかのように、真っ直ぐ力強い。 まだまだ人生経験の浅い僕だが、彼女が良い人間か、悪い人間かは、その瞳を見ればわかる。 その瞳の輝きは、性根が曲がった人間が写せる光ではない。 この自分の家(?)に来て、僕にこの異様な光景を見られても、 同じように、同じ真っ直ぐさで僕を見つめる瞳に嘘は微塵もない。 きっと、彼女は大丈夫だ。 そんなに奇怪なことを僕に施すはないだろう。 まだ彼女の事は何も知らないが、この点だけは信用出来る。 僕は、彼女から送られる微動だにしない視線に、軽い微笑みを返した。 すると、彼女はそんな僕に反応する代わりに、手に持った空のビーカーを差し向け、抑揚のない声で呟いた。 「この中に可能な限りあなたの体液を抽出して下さい。唾液でも尿でも血液でも構いません。」 前言撤回。 もうしばらく彼女に対して、警戒を解くのは慎もうと思った。 彼女が僕を玄関まで見送り、「では、また後日」と言い、ドアを閉めた後も、しばらく僕は呆然と立ち尽くした。 これまで我慢していた疲れがどっと溢れてくる。 少し大袈裟な言い方だが、僕はこの世界の隠された一部を垣間見た気分だった。 彼女は確かに奇怪でも悪人でもなかった。 ただ、理解出来ない分野に属する人だった。 ビーカーを僕に差し出し、再び動かない彼女。 同じく動かない、いや動けない僕。 またもや、脳がフリーズしてしまった。 理解不能過ぎる。 そんな僕を見つめ、沈黙する姿をまた肯定と捉えたのだろう (どうやら彼女は、相手の沈黙を、反論無しと解釈するらしい)。 ビーカーを近くのテーブルに置くと、近くの奇妙な実験道具を操作し始めた。 手早く実験道具の操作盤をいじり始め、作動音を確認すると次に違った形の実験道具に取り掛かる。 やっと自我が戻ってきた僕に湧き上がり始めた感情は、彼女に対する少しの怒りだった。 何故こんなところまで来て、自分の体液(?)を提供しなくちゃいけない? そもそもここはなんの実験所だよ? 彼女は何をしているんだよ? 僕の体液をどうする気だよ? 一つも説明を受けてない。 協力なんて出来るものか!僕は、不満をぶちまけるように、彼女に詰め寄ろうとした。 「あ、あのさー!」 少し大きい声を出してしまった。 その僕の声に反応したのか、彼女は、急に首から上だけを僕に向け、 いつもの力強い視線で次に言おうとした僕のセリフを、封じ込めた。 情けなくも、彼女の視線ひとつで何も言えなくなり、口をパクパクするだけの僕だったが、このままでは、男がすたる。 僕は唾を一つ飲み、やっとの思いで彼女に問いかけた。 「ここは、何をするための場所なの?」 彼女は、しばらく無表情のまま僕を見つめたが、 「突発性過発酵エネルギーについて研究をしている実験所及び私の住居です。」 とだけ言うと、また実験道具に向かい始めた。 突発…エネルギー…? 正直聞いたことのない単語だ。 全く理解は出来ないが、彼女は聞いたことには、一応きちんと答えてくれるらしい。 一度大きな声を出したせいか、少し緊張は消えたようだ。 僕は自分の中で、質問を整理して彼女に再び問いかけた。 「まずは、その突発…何とか?エネルギーについて、もう少し詳しく説明をして欲しいな。 それと、なんで僕をここに連れて来たのか、そして僕の体液?を何に使うのかも教えて欲しい。いいかな?」 さっきよりは、落ち着いた声で言えたためか、 彼女は今度はゆっくりと、こちらに振り向き、数秒沈黙した後、 「わかりました。ご説明を致します。」と言うと、いつもの抑揚のない声で語り始めた。 「突発性過発酵とは通常ならば炭水化物などを酵母菌でアルコールと炭酸ガスに分解する発酵作用を 特殊な微粒子を加えることで一度発酵作用を抑制しそこにその特殊な微粒子を分解する因子を 投入することにより突発的に発酵させます。その時に生じるエネルギーが突発性過発酵エネルギーなのです。」 息継ぎ一つ無く、一気に喋った彼女。 そして僕を捉えた両目で、理解できたかどうかを無言で確かめる。 正直、いまいち掴めない内容だ。科学の授業でもそんな話聞いたことがない。 質問がまだ山積みだが、とりあえず彼女の話を聞こう。 「突発性過発酵エネルギーは今から30年前とある健康食品会社が研究を始めました。 当時から国内ではエネルギー源の確保に苦悩をしていましたので実験が成功すれば かなり高効率なエネルギー源が得られるはずでした。」 全く余計な感情を挟まず、彼女は淡々と話し続ける。 「しかし実験は全く進展せず学会や投資をしていた企業からも徐々に見放され始めました。 更に近年では当たり前のように使用されているバイオエネルギーが 一般的に庶民の生活に定着してからはこのような研究に邁進する科学者はますます嘲りを受けるようになりました。 現在ではこの研究をしている科学者及び団体は世界にも僅かしかいなく、 突発性過発酵エネルギーのことは実験の一番始めに用いられた発酵素材が 乳製品だったため『ヨーグルト』と俗称されています。」 ここに来てから、どうも鼻をつく匂いだと思っていたのだけど、 今の話を聞いて確かにヨーグルトに似た匂いだと気付いた。 僕のあまり好きじゃない匂いだ。 「その、突発性過発酵エネルギーっていうのはだいたいわかったよ。 それで、僕を何のためにここへ連れてこられたのか、聞いていいかな?」 「先程も説明したように『ヨーグルト』を完全なエネルギー源として昇華させるには 発酵を抑制する特別素粒子とそれを分解する因子が必要と説明をしました。 その『ヨーグルト』にとって二つの必要不可欠な物質は人間の体内で生成されるのです。 ただし誰の体内でも生成されるわけではなく特別な人間にしか生成する機能がないのです。 その確率は約一万分の一。」 そこまで話すと、彼女は僕にその続きを無言で、促した。その瞳は、もう理解しただろう、と語りかけている。 「つまり、その適性があったのが、僕?」 「そうです。」 言ってから、また驚愕しかけた僕をフォローするように、 「と言っても先天性の病気でも何かの疾病を誘発することはありません。 体質みたいなものです。発酵食品が苦手では?」 「…うん。アレルギー持ち…。」 「でしょうね。その程度の障害です。」 自分の体質について、なかなか興味深い発見をした僕は、ふとあることに気付いた。 「ところで、何で僕だってわかったの?君にアレルギーの話でもしたっけ?」 そもそも、まともに会話をすること自体が初めてだ。 しかし彼女は、僕の質問にあっさりと答えた。 「先日校内で行われた尿検査で判明しました。」 そういえば、一週間ほど前に、クラス全員の検尿を集めている彼女の姿を思い出す。 いつもと違う動作をする彼女を、物珍しげに眺めていたっけ。 僕は、一気に納得をした。彼女は、それが目的で保健委員になったのである。 「あなたの体内にある抑制作用を引き起こす素粒子は尿やその他の体液から簡単に抽出可能です。 ただしこれからはその抑制物質を増殖する手段を発見しなければなりません。」 「はぁ、それはかなり大変だね。」 少し間の抜けた返事をした僕に、彼女は変わらぬ抑揚のない声で答えた。 「いえ、それ程ではありません。分解因子の方は増殖に成功してます。きっと同じ要領でいけるかと。 あとは微調整と実験さえ重ねれば『ヨーグルト』は完成します。」 「へぇ、すごいね。…?でも、待って?その抑制物質の方は僕だってのはわかったけど、 分解する方のは誰から見つけたの?それも、やっぱり身近な人?」 「私です。」 …わずかな沈黙の後、僕はある程度認識出来た事実に、納得の意を表した。 「わかった。じゃあとりあえず、このビーカーに入れればいいんだね。えぇと、 血は無理として、尿も恥ずかしいから、唾液でいいかな?」 「協力に感謝します。」 「それと、どのくらいの量を入れればいいのかな?ビーカー一杯っていうけど、さすがに、ねぇ?」 「抑制物質を無限増殖まで進めるためにはまず大量のあなたの体液から摘出する必要があります。 もう少し大きな容器をご用意しましょうか?」 「…いや。まずはビーカーで結構です。」 「それでは始めて下さい。」 彼女は、相変わらず無表情のままそう告げると、再び実験道具に向き直った。 そして、目線は機械に取り付けられたディスプレイに向けたままで、静かに語り始めた。 「学会ではこの突発性過発酵エネルギーを実験することを『ヨーグルト』と呼称しますが これは彼ら達なりの蔑んだ呼び方なのです。可能性が限りなくゼロに近いことに執着するもの達への嘲り。 それに対して私は異存はありません。どう呼称しようがそれは単なる個体の識別方法に過ぎませんから。 事実私も『ヨーグルト』と別称しますし。」 それは、僕に対して語りかけているのではなく、まるで、自分自身に対して語りかけているかのようだった。 「ただしこの研究の第一人者は当時誰よりも先駆けて研究を始めた今は無き健康食品会社に敬意を表して 『ケフィア』と学会に提出した論文に記していました。」 「『ケフィア』?」 「そうです。突発性過発酵エネルギーの研究に使用されたヨーグルトの種類がケフィア菌だったといわれていたためです。 『ケフィア』は我々『ヨーグルト』について研究を重ねる者にとっては未知なる可能性を意味します。 そして『ヨーグルト』を蔑称と感じる研究員は『ヨーグルト』とは決して言わず 『ケフィア』と言い表します。『ヨーグルト』は未だエネルギー資源になるには可能性が低い分野の研究ですが もしも成功すれば現在一般的に使用されているバイオエネルギー、以前はバイオマスエタノールと呼称されておりましたが、 それよりも遥かに低資質で高エネルギー資源が得られるはずなのです。」 「へぇ。どういった原理でそうなるかはわからないけど、すごいんだね、『ヨーグルト』って。」 「そうです。バイオエネルギーが定着した現在でも資源の確保面が問題視されていますが、 その難題を解決する可能性を秘めているのが『ヨーグルト』…」 そこで彼女は、一旦言葉を区切り、しばらく思案するように静止した。 そして、何かを決意するように、いつも以上に力強い瞳を僕に向けた。 「『ヨーグルト』…いいえ、『ケフィア』です。例え1%しかない可能性でも構わない。 この研究は必ず成功させなければいけない。私自身の為にも。そして…」 その時、僕は初めて彼女が既存の事実や事象を淡々と述べるのではなく、彼女の意思、感情を交えての言葉を聞いた。 そこで彼女は、また一旦言葉を止めた。 「…成功まで後もう少しなのです。それまで私にはあなたが必要です。ご協力を頂けないでしょうか?」 激した自分を戒めるように、いつもより更に抑揚に欠ける声で語りかける彼女だが、 両眼に宿った力強い光はそのままだった。もちろん断るわけにはいかない。 そんな重要な役割を、自分が担っているとは考えてもいなかったし、何より興味があった。 それからその日は、僕に彼女は唾液の提供と明日から放課後、毎日ここに来るよう簡単に言い渡し、 再び無言で研究に没頭し始めた。 僕は、そんな彼女の姿を見つめながら、間抜けな犬のようにただ涎を垂れ流す作業に従事した。 そして、その日はビーカー半分の唾液を彼女に渡し、研究所兼彼女宅を後にした。 長い帰り道をゆっくり歩きながら、僕は今日あった色々なことを、頭の中で整理していた。 突発性過発酵エネルギーについて。自分が特殊なものを体内に持っていることについて。 彼女も特殊なものを体内に持っていることについて。 そして、明日からは飲料水持参で来たほうがいいな、とカラカラになった口の中のことを思った。 様々なことを考えていたが、さっきからもう何度目になるかわからないくらい、 彼女の整った顔には似合わない無表情と、どこまでも真っ直ぐな力強い瞳を思い出した。 その度に、僕は無意識に高鳴る胸の鼓動を感じていた。 そして、赤くなりつつある空を眺め、また一つ溜め息をついた。 四 章へ
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梅の蜂蜜漬けと無糖ヨーグルトを凍らせたものと牛乳 358 :可愛い奥様:2005/08/06(土) 16 19 06 ID Gr1ecPfw ミキサーに自家製梅の蜂蜜漬けと無糖ヨーグルトを凍らせたものと牛乳を入れて スイッチオン。 カナーリ(゚д゚)ウマー 暑い時に飲むと身体も冷える。 (関連) 梅の蜂蜜づけとカルピスと牛乳と氷をジューサーに part2 http //human5.2ch.net/test/read.cgi/ms/1120106596/
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コンセプト フローズンヨーグルト?をアイスバーにしたもの。 棒はあるが容器がない時に。 材料 ヨーグルト(全脂無糖) 400g 450g 砂糖 85g 95g 塩 0.75g 成分 重量 486g 546g 水分 72.2% 72.3% 甘味度 18.1 18.0% 乳固形分 10.1 10.1% 乳脂肪分 2.4 2.4% たんぱく質 2.9 2.9% 脂質 2.4 2.4% 作り方 全材料を混ぜる。 エージングする。 アイスクリームメーカーにかける。 アイスバーの型に入れる。 評価 フローズンヨーグルトそのまま。 味は良いが、溶けやすいしやや崩れやすい。
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P「お前たちの顔にヨーグルトを塗りたい」 執筆開始日時 2012/06/05 元スレURL http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1338899054/ 概要 貴音「…よーぐるとをその様な事に使うとは…」 やよい「そんなことしたら、もったいないです~」 伊織「やだ…ぞくぞくするじゃない」ゾクゾク あずさ「…うふふ~。顔だけで、いいんですか~?」チラッ、 P「なぁ、いいだろ?男のロマンなんだよ。分かってくれ」 P「いつものアイス買ってあるから」 やよい「うっうー!アイスですー!」 タグ ^水瀬伊織 ^四条貴音 ^高槻やよい ^三浦あずさ まとめサイト 森きのこ!
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#blognavi カスピ海ヨーグルトを作っています。 作り方はごく簡単。市販の牛乳を買ってきて、それに古いヨーグルトを加えてやるだけです。 あとは、涼しいところ(冷蔵庫はだめ)に放置して、牛乳が発酵してヨーグルトになるのを待つだけ。 温度・湿度にもよるので、夏なら2日程度、冬なら4日くらいでしょうか。 富士登山駅伝の御殿場遠征の前、出発の日から逆算して、 その2日前からヨーグルト菌を買ってきた牛乳に植えて仕込んでおきました。 出発の直前に冷蔵庫に移せばよいという計算で。 が、しかし・・・ カテゴリ [料理] - trackback- 2008年08月07日 07 55 22 名前 コメント #blognavi
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基礎ステータス 名前:ヨーグルト・ソース レアリティ:☆☆☆ 属性:パティシエール/シュクレ・メイデン 特技:【料理】【人間への擬態】【知識】 体力:10 肉弾:0 白兵:0 射撃:0 狙撃:0 守備:0 回避:0 スキル1「乳酸菌さん生成」SP(1回目:0、2回目:1、3回目:2)※1日毎にリセット 1日に3回まで、好きなタイミングで使用可能。 使用すると、特殊ステータス「乳酸菌さん」を生成できる。 「乳酸菌さん」には「赤・橙・黄・緑・青・紫・虹」の7種類が存在し、 1度のスキル使用で以下のいずれか1つを行える 「赤」「黄」「青」の3種類を1つずつ生成 「赤」と「黄」を消費して「橙」を生成 「黄」と「青」を消費して「緑」を生成 「青」と「赤」を消費して「紫」を生成 「赤・橙・黄・緑・青・紫」を1ずつつ消費して「虹」を生成 スキル2「癒やしの乳酸菌さん」 好きなタイミングで使用可能。 「緑」の乳酸菌さんを好きなだけ消費し、パーティメンバーのHPを回復する。 1個消費につきHPを1回復。 回復量は好きなように割り振る事が可能。 スキル3「爆発する乳酸菌さん」 攻撃時、通常攻撃の代わりに使用可能。 「橙」の乳酸菌さんを好きなだけ消費し、「爆撃」扱いの攻撃を発動する。 攻撃力は消費した「橙」の分。 アビリティ「乳酸菌さんパワー」 通常行動時、攻撃の種類に応じた「乳酸菌さん」を好きなだけ消費する。 【肉弾】は「赤」を消費。1つにつき攻撃力+1 【白兵】は「黄」を消費。1つにつき攻撃力+1 【射撃】は「青」を消費。1つにつき攻撃力+1 【狙撃】は「紫」を消費。1つにつき攻撃力+3 【防御】は好きな色の乳酸菌さんを消費。1つにつき守備+1 【回避】は「虹」の乳酸菌さんを消費。1つにつき回避+50 設定 シュクレ・メイデンの参謀的位置づけ。 また、奔放なパティと控えめなシエルに代わりメイド長的な役割も担う。 彼女が生成し従える「乳酸菌さん」は、眼の色によって味が違うらしい。 知識豊富であり、Wiki扱いされる事もしばしば。 「どうやら、わたくしが動かなければならないようですね……」 呼び方:◯◯殿 一人称:わたくし 好き・得意:女の子の服の中に乳酸菌さんを仕込み「妊娠ごっこ」をさせること 嫌い・苦手:一時の気まぐれで妻扱いしていたとあるメイデン 実は:30年ぐらい前まではメイドではなかったらしい イラスト
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六 章 僕がこの高校に入学して初めて彼女に出会った。そして、驚愕の事実を知らされ 『ヨーグルト』の研究を手伝うようになったのが6月。 その日からは休みの日も毎日彼女の家に通った。 おかげで期末テストの結果は散々だったけど、僕は大して気にならなかった。 中学生の頃はただ「やらなければいけない」というだけで、目的もなく学業に精を出したが、 今にして思えばそんなに大事な事だったのだろうかと、不思議に感じる。 彼女の側で一緒に研究や実験をしてると、その思いはますます強くなる。 今あるこの瞬間がいかに有意義なものなのだろうかと。 季節は夏になり、ほとんどのクラスメートは部活動に専念したり、 学習塾の夏期集中講座に参加をしていたが、僕と彼女は変わらずに研究所に籠もっていた。 むしろ学校がないぶん朝から晩まで研究に没頭出来た。 長時間の作業やデータを必要とする実験が出来ることから、夏休みは実に好都合だった。 僕は彼女と研究所にいるこの時間が楽しかった。と、言っても彼女は根っからの無口で、 1日の会話が全くない日もあったが、一緒に実験をして(僕は助手だが)予測通りのデータが得られた時は、 僕の方を向き「この理論は実証されました」と、いつもの無表情と抑揚のない声で言うのだ。 でも、僕にはそれがとても嬉しそうに見えた。 私見や感想を一切交えず、淡々と事実だけを語っていく彼女だが、長い時を一緒に過ごすと、 なんとなく彼女の中の極端に幅が狭い感情の揺らぎを、感じることがあった。 それもまた、楽しかった。 それに、僕が作る料理を黙々と口に運ぶ彼女をみるのも、楽しかった。 特に「美味しい」だの「不味い」だの料理対する評価を下すわけではないが、 僕が作ったものは残さずに食べてくれた。 そして作り置きしていった料理も、次の日にはキレイに平らげ、鍋を洗ってくれていた。 今では駅構内スーパーマーケットで食材の買い出しに、彼女も付き合っている。 「私の食費なので」と、お金は全て彼女が出してくれる。 一緒に買い物をするのが、楽しかった。 時々、僕が持つ買い物カゴに鶏肉や魚、お菓子などを無言で入れていく彼女を見るのが、また楽しかった。 僕はこの数ヶ月間、まるで夢のような時間を過ごした。 彼女と一緒に実験をするのが楽しかった。 一緒に食事をするのが楽しかった。 一緒に買い物をするのが楽しかった。 一緒に居るだけで、楽しかった。 ずっとこの時間が続いてくれればと、心の奥底でそっと願った。 永遠なんてありえないと知りつつも、そう願っていた。 短い夏が過ぎて、暑さが徐々に涼しさに変わっていくにつれ、実験回数がだんだん減ってきて、 論文作成の為にパソコンに向かう時間が増えてきた。 彼女曰わく、『ヨーグルト』は完成していた。 夏休みも終わり、学校も二学期が始まった。久々に見るクラスメートの顔が違ったように見えた。 みんな部活動や塾に精を出していたが、それだけではなく健全か不健全かわからないが それぞれ充実した夏休みを過ごしたのが、会話の端に触れただけでわかった。 夏祭りや海、女の子、果てはナンパなんて単語も飛び出して、僕は友人の会話を聞いてドギマギした。 僕もそれなりに充実した夏休みだったと自分では思っていたが、どうやらみんなとは違った夏休みを過ごしたらしい。 僕は友人の会話に混じれず、話の内容に目を白黒させていると、友人の一人が急に 「で、おまえはどうなんよ?またあの無口っ子とデートしてたん?」 と、話を振ってきた。僕は驚いて返答に困ったが、周りの友人達は僕を見ながらニヤニヤしていた。 「オレ、あの無口っ子と結構近所でさ、おまえ等がスーパーで買い物してるの、何回も見てるんだよね~」 と、その中の一人が額に指を立てて、ワザと考えるような仕草をした。 そういえば、こいつも末広町方面だった。他の友人達も 「その話、かなり有名だよな!」 「で、結局おまえ等ってどういう関係なん?」 と、騒ぎ立て始めた。他のクラスメートも、いつの間にかクスクス笑いながらこっちを見ている。 僕は正直焦った。僕達が一緒にいたのが、知らない間に噂になっていたなんて。 まぁ、いつも一緒に下校をしてたんだから、それは当然だろう。ただ、どういう関係だと言われても、困る。 なにせ、僕自身がその質問に答えられない。まさかみんなに研究のことを話すわけにはいかない。 そもそも信じてくれるわけがない。それに、彼女自身も僕の事をどう思っているのかすら知らない。 多分覚えが悪い助手か、はたまた便利な家政婦か、はたまた単純に発酵抑制物質としか見ていないのではないか。 僕がほとほと悩んでいると、そこにタイミング悪く、彼女が登校してきた。 みんなの好奇の目が、一斉に彼女に向けられる。 それを待ってましたと言わんばかりに、友人の一人が弛緩した顔で彼女に訊ねた。 「お前、こいつと付き合ってるの?」 周りの友人達が目を爛々と輝かしている。他のクラスメートはヒソヒソしたり、固唾を飲んで見守っている。 僕は赤い顔をして呆然と彼女の答えを待った。 この場から逃げ出したかった。 彼女は常と変わらず、無表情だが相手をその場に張り付けるような力強い瞳を、不躾な質問をした友人に向け、数秒静止した。 本当に僅か数秒だったが、クラスメートはしばらくの長い休みのせいで忘れていた、 彼女が作る重い沈黙の効力を思い出し、黙り込み顔を伏せた。 同時に思い出した友人は、調子に乗りすぎた自分をたしなめるように、ツイと顔を背けたと同時に彼女は沈黙を破った。 「質問に対する的確な返答内容が該当しません。」 これまたいつもと変わらず抑揚のない声で答えたが、それで充分だった。 クラスメートは更に沈黙し、友人もそれ以上何も言えなくなった。 そのクラス全体の無言を彼女は、またもや返答に対する了解を得たと判断したのだろう。 視線を離すと自席に座し、一学期と変わらずノートにペンを走らせる作業に没頭した。 きっとみんなは、今の質問が彼女の逆鱗に触れたと思ったのだろう。 確かに彼女の返答は、言い換えれば「なんであんたに答えなくちゃいけないの?」と捉えることも出来るだろう。 でも、僕には彼女の言っている意味がそのまま理解出来た。 彼女は余計な揶揄や皮肉を混ぜて話さない。 さらに個人の感想や主観も挟まない。ただ、誰に対しても事実のみを伝える。 つまり彼女にもわからないのである。 多分、さっき僕が聞かれた「どういった関係?」といった質問だったら、 彼女ならば研究のことや僕の中にある特殊物質のことも、事細かに説明しただろう。 でも、今回の質問は「付き合っているか」否かである。 答えられるわけがない。 彼女には恋愛感情が理解出来ないのだから。 彼女が「付き合い」という単語を知らない訳がない。 ただ彼女にしてみたら「僕と彼女が付き合っている」という状態に、僕達とは齟齬が出てしまうのだ。 故にあのような答えしか返せないのである。 僕は騒ぎがうやむやのまま終わってくれた事にホッとしつつ、少し残念に思っていた。 やっぱり彼女にとっての僕は単なる協力者らしい。 わかっていたことだったけど、改めて実感してしまうと寂寥感が胸を占めていく。 それに多分、そう遠くないうちに研究は終わる。 彼女との繋がりが消える日がきてしまう。 二学期が始まり約一カ月がすぎた頃。いつもは多種多様な回転音を響かせていた実験道具は今は鳴りを潜め、 変わりに研究所にはパソコンのキーボードとマウスを操作する音だけが響いていた。 夏休みが始まって6日目。僕の体内から摘出し続けた『ヨーグルト』に必要不可欠な抑制物質の無限増殖に成功した。 それからは実験がスムーズに進行していった。 きっと彼女の頭脳の中には、既に『ヨーグルト』の構築式が完全に出来上がっていたのだろう。 彼女にしてみれば、実験なんかはいわゆる確認作業なのである。 そうとしか思えない程、実験結果は彼女が言い表した数値と誤差がなかった。 彼女と僕は夏休みのうちに出来る限りの実験をし尽くし、数々のデータをはじき出した。 学校生活に縛られる今、その莫大なデータの集計に追われつつ、論文作成を手掛けていく。 彼女と僕は、並んでパソコンの前に座り、彼女は論文の作成。 僕はデータの整理やグラフの作成をするのが、最近の作業だった。 「しかし、僕にはどうにも不思議だよ」 「何が、でしょうか?」 僕達は目線はデスクトップから離さず、声だけで会話をした。 「だってさ、この『ヨーグルト』ってさ、普通に考えたら世紀の大発明じゃん。 そんなのが僅か、えーとだいたい四カ月で出来ちゃうんだもん」 「現在、多数の科学者が行っている余たの実験など単なるジグソーパズルのピースをはめているだけだと言われています」 「?どういうこと?」 「相対性理論なとが良い例でしょう。 アインシュタインが件の理論を世に排出するまでは科学者は古典力学を元に研究を重ねていました。 しかし相対性理論が真理に近いとなれば今度はこぞって相対性理論を元に研究を重ねる。 結果理論の証明をより確固たるものにしていく。 つまり一摘みの科学者を除けばその他の科学者は既存の理論の枠でしか研究が出来ないのです。」 「なるほどね。でも『ヨーグルト』は違うでしょ?君が独自に開発した研究だろ?」 「以前説明した通りにこの研究を最初に着手したのは今は無き健康食品会社と一部の団体です。 私もジグソーパズルをしている者の一人なのです」 「そうだっけ。でも、僕の抑制物質や君の分解因子を考えついたのは君じゃないの?」 「私の父です」 前に聞いた不慮の事故で亡くなった彼女のお父さん。 そうか、彼女はお父さんの研究を引き継いでいたのか…。 今更ながら、ここに色んな実験道具があることや、彼女がここで寝る間も惜しんで研究をしている理由がわかった。 ちょっと考えればわかったようなことなのに。自分の浅はかさに嫌気がさしてくる。 しばらく考え込んで黙っていたせいで、僕と彼女の間にイヤな沈黙を作ってしまった。 彼女は気にしないと思ったが、僕はわざと話題を変えようと違う質問を投げかけた。 「この論文が出来たらさ、勿論学会に発表するんだろ?その後はどうなるの?」 「どうもしませんが」 即答だった。 「弱小ですが『ヨーグルト』を学会内で認めさせようと躍進している団体があります。 そこにこの論文を父の名前で提出し、後は団体の活躍に期待します」 「それは…それじゃあ君が頑張ったことが、世の中に認められないじゃないか…」 「単なる一介の女学生が発表する研究なぞに学会が興味をしめすとでも?各々が各々の得意分野で合理的に努力するべきです」 僕は何も言えなくなった。 彼女の言うことは確かに正しいと思う。 でも僕は今まで彼女の頑張りをずっと見てきたつもりだった。 朝、学校に来てから帰るまで机にかじりつく彼女。 食事もろくに取らずに実験を繰り返す彼女。 徹夜をしたのがすぐに判るほど目の下にクマを作っているときもある彼女。 それを思い出すと、彼女が何一つ認められることなく『ヨーグルト』が世の中に認められるなんてことがあるのなら、 あまりにも報われないのではないか? 僕はやるせない気持ちになり、手を止めて下を向いてしまった。 彼女はちらりと僕を一瞥すると、また淡々と作業に戻った。 次の日。いつものように放課後彼女の家に着くと、僕に論文作成の課題を言い渡した彼女は研究所の奥へと消えていった。 少し不思議に思ったが、昨日まで手を着けていたデータ整理を思い出し、僕はパソコンの前に向かった。 一時間程作業に集中し、そろそろ夕飯の準備でもしようかと思い、僕は冷蔵庫の中を点検するため席を立った。 そして立ち上がり振り向くと、すぐ後ろに彼女がいた。 僕はびっくりしてたたらを踏むと、彼女は相変わらず抑揚のない声で 「あなたにお見せしたいものがあります」と言うと、くるりと振り返り奥へと向かった。 いつもながら、まったく後ろにいるなら声くらい掛けてもいいじゃないか、 と心の中で文句を言いながら僕は彼女の後に続いた。 彼女から招かれた場所は、二畳くらいのガラスで囲まれた部屋。 いつしか『ヨーグルト』がこの目で見たいとせがむ僕に、渋々了解した彼女が実験を行った部屋だった。 結局、エンジンを木っ端微塵に破壊して度胆を抜かれた苦い経験だけが残ったが…。 ガラス部屋の内側には、あの時と同じようにエンジンがポツリの鎮座していた。 ただ以前と違うのは、動力部にだけ複雑に導線が絡んでいたが、その他の配線は見当たらない。 どうやら今回は測定するための実験ではないらしい。 彼女は何を僕に見せたいのだろう?疑問に思っていると、乳白色の固まりが入ったシャーレを持った彼女が僕を見つめていた。 なんだろう?カリフラワーにも見えるような気もするが、少し違う。 それにもっと近くで見てみると柔らかそうな、僕が嫌いなこの臭いは…。 僕はシャーレの物体を凝視して「ヨーグルト」と呟くと、彼女は「いいえ。ケフィアです」と短く反論した。 これがケフィア…。初めて目にする。 「これより原動機を用いた突発性過発酵エネルギーの検証を行います」とだけ言うと、 彼女はガラス部屋の中に入り、エンジンにセッティングを始めた。 僕は前回の実験を思い出していた。 目を離していたスキに突然爆発して終わった実験。 今、思い返しても恐ろしい光景だった。 耳を裂くような爆発音。 ガラスに叩きつけられた金属の破片。 またアレが起きるのかもしれないと思うと、身震いがする。 セッティングが終わり操作盤の前に戻ってきた彼女は「では始めます」と、短く開始を告げた。 そしてレバーを無造作に引くと、ガラス部屋の中でエンジンが静かに稼動を始めた。 最初はゆっくりとピストンしていたエンジンは次第に動きを増し、10秒もしないうちに安定した動作を保っていた。 ホッと胸をなで下ろし、決まったリズムで稼動するエンジンを眺めていると、彼女もガラス部屋に視線を向けながら語り始めた。 「あなたもご存知のように突発性過発酵エネルギーは小資源で高効率なエネルギー供給が得られますが バイオエネルギーのような一般生活での使用には向いていません」 「えーと、熱量変換効率が良すぎるんだっけ。だから発電所での活用が最も適している、だよね?」 「そうです。ただしこのケフィア菌ヨーグルトに関してはご覧のように 何故か突発力が抑えられた安定感あるエネルギーが得られます。」 「それについては研究しないの?」 「真理の探求を生業とする科学者ならばさらに追求すべきでしょうが…」 何故か彼女はそこで言葉を区切り、小さく溜め息をついた。 「今後の課題にしましょう」 普段の彼女からは想像出来ない弱気な仕草だったが、僕は触れてはいけない部分と思い、相槌を遠慮した。 そしてまたしばらく静かに稼働するエンジンを眺めていたが、いつの間にか隣で彼女がこちらに体を向けているのに気付いた。 僕も彼女に向き合うと、彼女はペコリと頭を下げた。 「あなたのご協力のおかげで私の目的が完遂することが出来ました。多大なる感謝を申し上げます」 急にお礼を言い始めた彼女に戸惑ったが、僕は彼女の真意を悟った。 「研究の完成を祝しあなたが以前要望した実験を完全版でご覧頂きました。 あなたには実験だけではなく食事の面までお気遣い頂き、本当に何度お礼を述べても足りないくらいです。 今日で研究は終了です。どうぞ明日からは普通の生活をお過ごし下さい」 もう一度深く頭を下げ、小さくありがとうございましたと彼女は呟いた。 僕はこの時が来るのをわかっていたのに、いざ彼女に面と向かって告げられると、ただただ頭が真っ白になった。 何も考えられず立ち尽くす僕に、彼女は無表情に力強い瞳で見つめていた。 どのくらいの時間、そのまま見つめ合っていただろうか。 僕はようやく口を開き、 「夕飯だけは作っていくよ」 という言葉だけ、絞り出した。 外はすっかり薄暗くなっていた。顔に当たる風が少し肌寒い。 いつものように、玄関まで見送ってくれた彼女は、 「明日からはしばらく学校を休もうと思います」 と小さく呟いた。大きく目を開けた僕をそのまま見据え、 「研究所の整理をしたいですし学会や団体から連絡があるかも知れませんし…なにより…」 そこまで話すと、さっきのガラス部屋の実験室で見せた弱気な顔を下に伏せて、 「私は少し疲れました…」と、消え入りそうな小さな声で呟いた。 それはそうだ。 二年前に両親を亡くして精神的にも辛い状態だったろうに、誰にも頼らず黙々と研究を続けてきたのだ。 彼女にしてみたら、やっと今になって束の間の安息を得たのだろう。 僕も小さな声で「わかった」とだけ呟くと、後は何も言えなくなった。 こんな時はなんて言ったらいいんだろう? 伝えたいことや話してみたいことはいっぱいあったのに、いざとなると何も言葉に出来ない。 ありがとうと言いたかったのはむしろ僕のほうだった。 これまで味わったことがないような楽しいことをくれたのは、彼女だった。 今日で終わりなんかじゃなくて、明日からもここで一緒に肩を並べて研究をしたかった。 彼女に食べて欲しい料理だってまだたくさんある。 そして…一番伝えたいことだってある。 彼女と一緒に「これから」をもっと作っていきたかった。 …でも、僕の思いは何一つ言葉にすることは出来なかった。 そしてやっとの思いで顔を上げ、精一杯の空元気を作り 「ご飯はちゃんと食べるんだよ」とわざと声を弾ませて言った。 すると彼女はゆっくり顔を上げ、いつもの無表情に不似合いの強い光を宿した瞳を僕に向けて「考慮します」と短く告げた。 そして、明日にでもまた会うような短い挨拶を交わし、僕は思い出がたくさん詰まった研究所を後にした。 しばらく歩いてから振り向くと、彼女はまだ僕を見送っていた。 またしばらく歩いてから気になって振り向くと、彼女はまだそこにいた。 少し歩いて振り返りまた進み、それを何度も繰り返したが、彼女はいつまでもそこにいた。 僕の姿が見えなくなるまで、見送ってくれた。 帰りの電車に揺られながら、僕は明日から何をしようか思案していた。 まずは遅れがちだった学業を励み、みんなに追いつかなくちゃ。 自主学習だけでは不安だからいっそのこと、塾に行こうかな。 明日学校に行ったらクラスメートに良いところがあるか聞いてみよう。 そんなことを考えていたが、頭の中は彼女のことでいっぱいで、勉強のことは浮かんでは消えてまた浮かんでは消えた。 そして最後には何も考えられなくなり、不意に彼女の感情に乏しい顔にそぐわない力強い瞳を思い出した時、涙がこぼれた。 電車の中、人目もはばからず僕は泣き続けた。 七 章へ
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1 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 04 13 03.06 ID 3QD8kKzu (コーヒー牛乳に)切り替えていく 2 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 04 23 36.31 ID Dir0ribm (コーヒー牛乳に)切り替えていく 3 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 04 30 41.87 ID fDHJaIsw 私「ヨーグルトと間違えなくてもあなたの精液ぐらい飲めるわ…」 5 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 04 57 45.54 ID fdJRHnv0 なにこのスレタイ くそつまんないんだけど 6 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 05 07 01.08 ID eF0Gft5x キチガイアンチがオナニーのために立ててるスレだから 8 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 05 43 46.30 ID yVS5SCmK 最中がだべたい 9 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 08 20 56.07 ID wQenO9mQ 二岡スレが見れるのも今年限りか… 10 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 08 49 18.54 ID b60pY4fr ハマに行ってもスレは立つのかな 11 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 09 08 46.28 ID UKG7hGzE 6 キチガイアンチ(笑)が立てたスレにわざわざレスをする真性キチガイ虚カス 12 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 10 03 24.39 ID 8ST1ZfMq スレタイ二番煎じだろ 13 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 10 28 08.65 ID 55b3kCot 低脂肪あるで 14 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 10 28 57.16 ID UDMcYhJ4 良スレ 15 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 10 34 28.62 ID 4sY77RNn アセロラ?ねーよ! 17 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 10 41 39.29 ID 6xp4ZtRW 雪印から明治に切り換えていく 19 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 10 46 31.76 ID Q6+OOs+y プレーンヨーグルトに切り換えていく 20 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 10 49 55.58 ID 3c8OXSaJ キウイ入ってるの?知らなかった 32 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 12 54 22.05 ID 6xp4ZtRW 二岡、股間のヨーグルトをモナにブチまける。 33 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 12 57 38.74 ID 8rxY5iBx 二岡チンコにヨーグルトを塗りたくる 34 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 13 02 01.01 ID 66VLrJVC 明治からグリコに切り換えていく 44 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 14 08 04.37 ID XweEgI4C サプリメントに切り換えていく 46 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 14 10 59.52 ID Wy1A23tL ナチュラルあるで 59 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 15 48 09.63 ID gKGS8+sT 利き手はやめろ!ブルガリア! 60 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 15 56 57.79 ID TfRi2+l0 いいえケフィアです 63 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 16 50 48.32 ID g/fwqOuu モナ モナ 女の子 不倫しにホテルにきた 64 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 16 55 56.48 ID FIXM0HS2 二岡股間の牛乳瓶をモナにブチこむ 65 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 16 59 22.46 ID 0oj/FVoB 二岡、股間の牛乳瓶をスポイトに間違われる。 66 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 17 01 42.52 ID HRr7Oy8+ これは酷い 68 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 17 09 26.42 ID gKGS8+sT ラミレス「ミルミルあるで」 69 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 17 24 50.53 ID wrDofve/ 一緒や!飲んでも! 71 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 17 34 36.29 ID u3wINPft (モナのラブジュースに)切り替えていく 76 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 17 54 37.47 ID gKGS8+sT ガルベス「カルシウム足りてる?」 79 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 18 10 26.29 ID u+fZizVg ドピュ 80 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 18 14 05.50 ID 3ahZNPzn 飲ませて 81 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 18 17 26.56 ID SYLG/1hn ダメ 82 :どうですか解説の名無しさん:2008/07/14(月) 18 24 41.77 ID v+hYVwWa アカン
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作者:1スレ目 1 真紅「……水銀燈、あなた何を言っているの?」 水銀燈「あぁら真紅。貴方、おしりから何も出ないのかしらぁ?」 真紅「出るわけがないわ。当たり前でしょう」 水銀燈「当たり前、ねぇ。……ふふっ!」 真紅「……何がおかしいのかしら」 水銀燈「真紅、あんたは所詮その程度だったって事ね」 真紅「聞き捨てならないわね」 水銀燈「別にぃ?」 真紅「……気に入らないわ。その見下した態度」 水銀燈「あら、おしりから何も出ないあんたが私と戦うつもり?」 真紅「当たり前でしょう」 水銀燈「生憎だけど、私はおしりから何も出ない子には興味ないの」 …バサッ 真紅「待ちなさい水銀燈!」 水銀燈「じゃあねぇ」 バサバサッ! 真紅「あっ……」 真紅「……」 真紅「……あの自信はどこから来ているのかしら」 真紅「……」 JUM「どうしたんだよ真紅、なんか元気ないな」 真紅「ちょっと考え事をしていただけよ」 JUM「考え事?」 真紅「……ええ」 JUM「話してみろよ」 真紅「えっ?」 JUM「僕でも何かの役に立てるかもしれないだろ?」 真紅「ジュン……ありがとう」 JUM「よ、よせって! 僕は部屋でボーッとされるのが嫌なだけなんだからな!」 真紅「……という訳なの」 JUM「なる程。水銀燈のおしりからヨーグルトが、ねぇ」 真紅「勿論嘘に決まってるわ。でも……」 JUM「水銀燈の自信満々な態度が気になる、か」 真紅「……ええ」 JUM「……なあ、真紅」 真紅「何?」 JUM「もしかして……水銀燈のおしりからは本当にヨーグルトが出るんじゃないか?」 真紅「……」 真紅「……えっ?」 真紅「な、何を言っているの!? 誇り高きローゼンメイデンのおしりから、そんな……そんなはずないのだわ!」 JUM「本当にそうかな?」 真紅「当たり前よ! 変なことを言わないで!」 JUM「……真紅。水銀燈は乳酸菌と仲が良い、よな?」 真紅「……それがどうかしたの?」 JUM「……」 JUM「……なら、おしりからヨーグルトが出ても不思議じゃないと思うんだ」 真紅「あ、有り得ないわ!」 JUM「いいや、有り得ない事じゃない。 人間は食べたものがウンコに影響するんだ」 真紅「下品よ、ジュン!」 JUM「落ち着けって。……水銀燈の腸内で乳酸菌が大活躍して、 結果的におしりからヨーグルトが出ても不思議じゃあない」 真紅「私達ドールのおしりからそ、そんな物が出るはず……はっ!?」 JUM「そう。それが水銀燈の自信の秘密だ」 真紅「ま、まさか……」 JUM「水銀燈は……人間に、究極の少女に一歩近づいたんだ」 JUM「おしりからヨーグルトが出る、それはその証明さ」 真紅「そ、そんな……!」 真紅「ま、待ちなさいジュン! お父様が究極の少女に、アリスに排泄をさせるとは思えないわ!」 JUM「いいや真紅。それはお前の、いや、女の子の意見だ」 真紅「なんですって?」 JUM「僕の考えるアリスは……排泄をする。いや、して欲しいからだ」 真紅「……人間の雄は本当に下劣ね」 JUM「ああ、そうさ、下劣さ。……だがな」 真紅「?」 JUM「果たして、ローゼンもそうじゃないと言い切れるのか?」 真紅「あ、当たり前よ!」 JUM「いいや、ローゼンはそうとは考えていない。 真紅、親の心子知らずとはまさにこの事だな」 真紅「お父様の事を勝手に下品な人物に仕立て上げないで頂戴!」 JUM「だったら!」 真紅「!?」 JUM「……だったら、どうして水銀燈のおしりからヨーグルトが出たんだ?」 真紅「そ、それは……」 JUM「認めるんだ真紅。 お前のお父様……ローゼンは、ちょっとアブノーマルな変態だ」 真紅「……」 真紅「お父様が……へ、変態だったなんて……」 JUM「変態でなきゃ、アリスを求めたりなんかしないさ」 真紅「あ、ううっ……!」 JUM「……気にするな真紅。ローゼンはちょっとアブノーマルな変態なだけだ」 真紅「気にするなと言われても……無理よ」 JUM「無理じゃないさ。本当にアブノーマルな奴は、 おしりからヨーグルトが出たと聞いてガッカリするんだ」 真紅「……どういう事?」 JUM「ウンコじゃないのかよローゼン。期待して損した、ってね」 真紅「……」 真紅「……だけど、これで水銀燈の自信の秘密がわかったわ」 JUM「で、お前はどうするんだ?」 真紅「私がどうするか、ですって?」 JUM「ああ。水銀燈はおしりからヨーグルトが出たんだぞ? なのに、お前はおしりから何も出ていない」 真紅「そ、それは……」 JUM「可能と不可能。これはアリスゲームにおいて不利になると僕は思うね」 真紅「そ、そんなっ!? ど、どうすればいいの……!」 JUM「……簡単さ」 真紅「えっ?」 JUM「……」 JUM「お前もおしりから何かを出せばいいんだ」 JUM「まだだ! まだ5リットルしか紅茶を飲んで無いぞ!」 真紅「無理……もう無理よ……ウプッ」 JUM「諦めるのか真紅! そんな事じゃ水銀燈に勝てないぞ!」 真紅「勝てない……私が、勝てない……?」 JUM「雛苺を見ろ!」 雛苺「うにゅーおいしいのー!」 JUM「文句も言わずに苺大福を食べてるんだぞ! もう76個目だ!」 真紅「……ウプッ!」 JUM「吐くな! 飲み込め! ガッツを見せろ!」 翠星石「……何をやってるですか?」 JUM「ああ、翠星石か。良い所に来たな」 真紅「私は……私は負けないのだわ! ゴクッ、ゴクッ……オウプッ!」 雛苺「ねえジュンー。うにゅーおかわりー!」 翠星石「……とても良い所には見えませんけど」 JUM「翠星石、お前はスコーンだな」 翠星石「な、何がですか?」 JUM「そりゃもちろん、おしりから出すものさ」 真紅「も、もう入らないわ! 無理……無理よ……!」 JUM「諦めるな真紅! 今ごろ水銀燈は おしりからカスピ海ヨーグルトが出るようになってるかもしれないんだぞ!」 真紅「! ま、負けていられないわ!……ゴクッ、ゴクッ……うおえっ」タパパッ! JUM「吐いた分はまた飲みなおせ! お湯と茶葉は大量にある!」 翠星石「ううっ! とんでもねー状況で来ちまったですぅ……」 JUM「お前も頑張るんだ翠星石! 負けていいのか!?」 翠星石「でもスコーンはパサパサしてて……コホッコホッ!」 JUM「牛乳と一緒に食べるんだ! 頑張れ翠星!」 翠星石「ち、チビ人間に応援されたから頑張るわけじゃねーですからね!」 雛苺「うにゅーおかわりー!」 真紅「う、おううっ……!」 翠星石「ひぃ……ひいっ……!」 JUM「……そろそろ何かしらの効果が現れてもいい気がするんだけどなぁ」 真紅「……きっと水銀燈がついた嘘だったのよ!」 翠星石「そうですよ! 翠星石達を苦しめるための罠に決まってます!」 JUM「もしかしたら、そうかもしr」 雛苺「はうっ!?」 JUM「どうした雛苺。苺大福を喉につまらせたか?」 雛苺「お、おしりがなんだかムズムズしてきたの……」 一同「!」 JUM「なんだって!?」 雛苺「う、うううっ……!」 真紅「そ、そんな……! まさか、水銀燈が言っていた事が本当だったなんて!」 翠星石「な、何が起こるっていうんですか!?」 JUM「さっき説明しただろう?」 雛苺「ううううぅぅぅっ!」 JUM「……ス薔薇しいものさ」 雛苺「うにゅうううぅぅぅーーーっ!!」 ぶぼむっ! 真紅「な、なんなの今の音は!?」 翠星石「ち、チビチビのパンツが妙に膨らんでますよ!?」 雛苺「う、うぅ……」 JUM「大丈夫か、雛苺?」 雛苺「何か……ヒナのおしりから何かが出たの……」 JUM「見ても良いか?」 雛苺「……うん」 JUM「……」 ゴソゴソッ JUM「……こ、これはっ!」 雛苺「あっ、うにゅーなのー!」 JUM「! も、もしやっ!」パクッ! 雛苺「あーっ! ジュンが苺大福食べちゃったー!」 真紅「何をしているのジュン!? おしりから出たものを食べるだなんて!」 翠星石「そ、そうですよ! 早く吐き出すです!」 JUM「……モグモグ……モグ……っ! お、おいしい! 今まで食べたどの苺大福よりもおいしい!」 真紅「なんですって!?」 翠星石「そ、そりゃどういう事ですか!?」 雛苺「ヒナにもちょうだいジュンー!」 JUM「……僕はローゼンを舐めていた」 真紅「どういう事か説明して頂戴」 JUM「ローゼンは、ただ女の子のおしりから食べ物を出すのが目的じゃなかったんだ」 翠星石「一体どういう事ですか?」 JUM「ローゼンは……女の子のおしりから出た食べ物を 本当に美味しくいただく事が目的だったんだよ!」 真紅・翠星石「!?」 JUM「なんだかんだ言って、排泄物は排泄物だ。 普通の食べ物に比べたら……」 JUM「だけど、それが本当に美味しかったとしたら? それが食べられるとしたら? ……天国だよ」 真紅・翠星石「……」 雛苺「うにゅーおかわりー!」 JUM「きっと、水銀燈の出すヨーグルトも美味しいに違いない。 もしかしたら、金糸雀も既に美味しい玉子焼きを出せるのかも……」 真紅「じゅ、ジュン!」 JUM「何だ?」 真紅「紅茶を煎れて頂戴! 大量によ!」 JUM「真紅……」 翠星石「す、スコーンも焼いてくるです!」 JUM「翠星石まで……」 雛苺「うにゅーまだー?」 蒼星石「……」 JUM「蒼星石じゃないか。来てたのか?」 真紅「グビッ! グビッ!」 翠星石「ガツガツ! ガツガツ!」 雛苺「はやくうにゅー買って来いメガネ」 蒼星石「……」 蒼星石「……ねえジュンくん。これは一体何の騒ぎ?」 JUM「これか? これは……アリスゲームさ」 蒼星石「……」 蒼星石「えっ?」 JUM「……というわけなんだ」 蒼星石「……本当におしりから何か出るの?」 JUM「ああ。水銀燈はヨーグルトが出るらしいし、雛苺はさっき苺大福を出した」 蒼星石「雛苺が出した所を見たの!?」 JUM「絶品だった。……な、雛苺?」 雛苺「メガネ、はよ買って来い」 JUM「……というわけさ」 蒼星石「……そんな……まさか……」 蒼星石「有り得ない! そんなの有り得ないよ!」 真紅「お、おしりがムズムズしてきたわ!」 翠星石「す、翠星石もきたですぅ!」 蒼星石「!?」 真紅「だ、だだだっ……!」 翠星石「で、でででっ……!」 JUM「っ、真紅! パンツを下ろすんだ!」 真紅「だわあああぁぁぁーーーっ!」 ジョパッ! 翠星石「ですうううぅぅぅーーーっ!」 ボムンッ! JUM「くそっ! 翠星石はスコーンだからいいけど、 真紅は紅茶だから服に染み込んじゃったか!」 蒼星石「……」 JUM「どうだ蒼星石、信じてもらえたか?」 蒼星石「……一応、ね」 JUM「それじゃあ蒼星石の好きな食べ物を教えてくれ。 それを食べ続ければおしりからそれが出ると思うんだ」 蒼星石「で、でも。僕はなんでも好きだから……その……、 おしりから特に食べ物は出ないと思うんだ」 JUM「……」 蒼星石「じゅ、ジュンくん?」 JUM「……蒼星石」 蒼星石「な、何?」 JUM「お前がおしりから出すものは、僕の期待に応えてくれるものかもしれない」 おわり